セキセイインコの飼育で重要なのが 「温度管理」 です。
室温が合わないと免疫力が落ちて体調不良になったり、雛や病気のセキセイインコは命に関わったりすることもあります。
季節や状態に応じて適正温度を保ち、セキセイインコが快適に過ごせる飼育環境を作ることが大切です。
この記事では 「適正温度の目安」 から 「季節ごとの管理方法」 「保温器具の選び方」 までをわかりやすく解説していきます。
記事を読めば、季節ごとやセキセイインコの状態に合った 「適正温度」 や 「自分に合った保温器具」 が明確になりますよ!
セキセイインコがなつかない原因や対処法は 【解決】セキセイインコがなつかないときの原因と対処法5つ! をご覧ください。
セキセイインコにとって 「温度管理」 が重要な理由

セキセイインコにとって 「温度管理」 が重要な理由は、
- 体が小さく体温が高いから
- 自力での体温調節が苦手だから
「温度管理」 はただ快適にするためだけでなく、命を守り寿命を延ばす基本ケアです。
それぞれ詳しく解説しますね。
体が小さく体温が高いから
セキセイインコはオーストラリアの乾燥地帯原産で、体温は40℃以上と高めです。
体が小さいため、外気温の影響を強く受け、わずかな温度差でも体調を崩しやすい特徴があります。
そのため、人間にとって快適な温度でもセキセイインコにとっては負担になることも。
自力での体温調整が苦手だから
セキセイインコは哺乳類のように汗をかいて体温を下げることができません。
羽毛に空気を含ませたり口呼吸したりして、熱を逃がすしかないのです。
特に雛や病気の子は、自分で温度調整ができないため温度管理が命に直結します。
セキセイインコにとっての 「適正温度」 とは?

セキセイインコにとっての 「適正温度」 は、以下のように状態によって違います。
成鳥➡20~25℃
雛➡28~30℃
病鳥・高齢鳥➡28℃前後で安定
といった温度が 「適正温度」です。
セキセイインコは 「適正温度」 より低い温度だと体力を消耗して免疫力が下がり、病気になりやすくなります。
成鳥の適温(20~25℃)
成鳥は体温が約40℃前後と高く、室温が20~25℃であれば活動や食欲が安定します。
この温度帯では羽を膨らませたり震えたりすることが少なく、健康維持に最適です。
ただし、急な温度変化や湿度の低下には敏感なので、室温が一定に保たれる環境が望ましいです。
ヒナの適温(28~30℃)
ヒナは体温調節機能が未熟なため、少し高めの温度が必要です。
羽がまだ十分に生えていないため寒さに弱く、27℃以下では体力を消耗してしまいます。
ヒナ用の保温器具(ヒーターや保温電球)を使用し、温度計で常に28~30℃を確認することが重要です。
雛の温度管理など詳しい飼い方は セキセイインコの雛の飼い方まとめ【挿し餌と温度管理が重要!】 にまとめています。
病鳥・高齢鳥の適温(28℃前後)
体調を崩している鳥や高齢の鳥は、低体温になりやすく免疫力が下がります。
安定した温度(28℃前後)で環境を整えることで、回復や健康維持をサポートできます。
無理に低温に慣らすことは避け、体温の維持を最優先に考えましょう。

自力で体温調整ができない雛や病気の子、高齢鳥は 「温度管理」 とあわせて 「健康診断」 も受けると安心です。
セキセイインコの健康診断は必要?健康診断の内容を初心者向けに詳しく解説
季節ごとの温度管理

年齢や体調以外に、季節によってもセキセイインコは 「温度管理」 が必要です。
春・秋の注意点
比較的過ごしやすい時期ですが、朝晩の寒暖差が激しい季節です。
急な温度変化は免疫力を下げる原因となるため、サーモスタットつきのヒーターで安定した環境を保ちましょう。
また、セキセイインコは 「換羽期」 といって季節の変わり目に古い羽が抜け落ち、新しい羽が生えてくる時期があります。
「換羽期」 は、新しい羽を作るためにエネルギーを消耗しやすいため、 「温度管理」 には注意が必要です。
梅雨時期は “湿度” 管理が最優先
梅雨時期は気温はほどほどでも、湿度が高くカビや細菌が繁殖しやすい季節。
湿気がこもると羽毛がベタつき、羽づくろいが減って体調を崩す原因に。
除湿機を活用しながら室温は22〜25℃をキープし、通気を良くすることが重要です。
夏の暑さ対策
日本の夏は高温多湿のため、乾燥地帯出身のセキセイインコにとっては危険です。
室温は30℃を超えないよう冷房を活用し、直射日光や風が直接当たらない場所にケージを設置します。
保冷剤やサーキュレーターも有効ですが、温度差が激しくならないよう注意が必要です。
冬の寒さ対策
冬は保温が必須です。
ヒーターや保温電球を使い、ケージカバーで熱を逃がさない工夫をしましょう。
目安は室温20℃以上を保つこと。特に夜間は冷えやすいため、温度計で常に確認することが大切です。
ヒーター・保温器具の種類と設置法

セキセイインコの 「温度管理」 に必要な保温器具は
- 電球型保温ヒーター
- パネルヒーター
- 保温電球+サーモスタット
といったものがあり、どのように暖めたいかで選ぶ種類も変わってきます。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 電球型保温ヒーター(赤球・黒球) | 赤外線でケージ内を広く加温 | ケージ全体を温めやすい 冬場のメイン保温に使える | インコが近づきすぎると過加温のリスク 光が睡眠を妨げる場合がある(赤球) | 冬の夜間保温・急な冷え込み |
| パネルヒーター | ケージの外や底からじんわり加温 | 光を出さないので昼夜リズムを乱さない インコが近づいたり離れたりできる | ケージ全体を温める力は弱い 真冬は単体では不十分 | 春秋の冷え込み対策・補助保温 |
| 保温電球+サーモスタット | 設定温度を自動で維持 | 温度の上下を防ぎ安定管理 初心者でも扱いやすい | 導入コストが高め 設置に少し工夫が必要 | 一年を通じた安定した温度管理に最適 |
ケージの片側だけにヒーターを設置すると、セキセイインコが 「暖かい場所」 「涼しい場所」 を自由に選ぶことができます。
ケージ内の温度ムラを防ぐ工夫

温度ムラを防ぎ、ケージ全体が均一な温度になるよう
- 温度計を上下に2つ設置し、ムラを確認
- 冷えやすい下の方にヒーターを設置
- ケージカバーや断熱シートで外気の影響を減らす
といった工夫をすることで、セキセイインコにとって快適な環境が保てます。
温度計を上下に2つ設置して確認
ケージの上段と下段では温度が2~3℃違うことがあります。
上はヒーターの熱がこもりやすく高温に、下は冷たい空気が溜まりやすく低温になるのが一般的。
上下両方に温度計を設置することで、セキセイインコが実際に過ごしている高さの温度を正確に把握できます。
デジタル式で表示画面が大きい温湿度計を使うと便利です。

ヒーターはなるべく低い位置に設置する
低い位置にヒーターを設置すると、冷えやすい下から暖めることができるのでムラを防ぎ効率よく温められます。

床に置くタイプのパネルヒーターと電球型を併用してもグッド。
ケージカバーや断熱シートで外気の影響を減らす
夜間や冬は、窓際や壁近くの冷気がケージ内に伝わりやすいため、ケージを専用カバーや断熱シートで覆うと保温効率が大幅にアップします。

また、夏は熱気の侵入を防ぐため、窓に断熱シートや遮熱カーテンを使うと冷房効果が安定します。
完全に覆って密閉すると酸欠や湿度上昇のリスクがあるため、必ず換気口を残しましょう。
暑さ・寒さのサイン

セキセイインコは体が小さいため、人間以上に温度変化に敏感です。
寒いとき➡羽を膨らませる、震える、じっと動かない
暑いとき➡口を開けて呼吸、翼を広げる、餌を食べない
これらの行動は 「温度が合っていない」 サインです。日常的に観察し、早めに温度調整を行うことが大切です。
寒いときのサイン
羽を膨らませる
体温を逃がさないために羽をふくらませて空気の層を作り、保温しようとしています。
長時間続く場合は明らかに寒がっているサイン。
震える(小刻みにブルブルする)
体を震わせることで筋肉運動によって熱を発生させています。
人間が寒いときに震えるのと同じ生理反応。
じっと動かない
寒さで体力を温存しようとして活動が減ります。
特に止まり木の上で動かず、目を閉じている場合は要注意。
これらのサインを放置すると、免疫力低下や風邪、呼吸器疾患につながるため対処が必要です。
体調不良のときの対処法は セキセイインコが体調不良のときのサイン5つ【対処法&予防法あり】 に詳しくまとめています。
暑いときのサイン
口を開けて呼吸(ハアハアする)
汗腺がないため、口を開けて呼吸することで体温を下げています。
熱中症の初期サインなので注意が必要。
翼を広げる、浮かせる
脇を開けて熱を逃がそうとします。
ケージの隅や止まり木の端で翼を浮かせている姿は 「暑い」 のサイン。
餌を食べない、水ばかり飲む
消化活動は体温を上げるため、暑いときは食欲が落ちる傾向にあります。
食欲不振が続く場合は、室温が高すぎる可能性も。
暑さを放置すると熱中症の危険があり、最悪の場合は命に関わるため早急に温度を下げる必要があります。
セキセイインコの餌については 【保存版】セキセイインコの餌について詳しく解説!|種類・1日の量・与え方 で詳しく解説しています。
注意すべきリスク

セキセイインコの 「温度管理」 は低すぎても高すぎても危険。
- 過保温による発情、ストレス
- 急激な温度変化による免疫低下
- ヒーター故障や停電時の冷え込み
- エアコン故障や停電時の暑さ対策
といったリスクに注意が必要です。
「過保温」 による発情・ストレス
「過保温」 とは、ヒーターや保温器具を使いすぎてケージ内がセキセイインコにとって高温すぎる状態をいいます。
- 成鳥の発情行動の増加(鳴き声が大きくなる、巣作り行動、噛みつき)
- 過剰な体温上昇によるストレス
- 食欲減退や羽毛むしりなどの問題行動
などのリスクが増加するため、
- 成鳥はケージ内の温度を(20~25℃)に調整
- ヒーターの温度調節やサーモスタットの併用
- セキセイインコが自由に 「暖かい場所」 「涼しい場所」 を選べる環境作り
といった対策が有効です。
※個体差がありますが、基本的には生後6か月頃までは発情しません。
急激な温度変化による免疫低下
急激な温度変化は
- 冷暖房のオン・オフ
- 外気との温度差が大きい場所にケージを置く
ということで起こります。
免疫力の低下につながり、風邪や呼吸器疾患のリスクが増加するため
- 窓際やドアの近く、エアコン直下を避ける
- 季節の変わり目はヒーターやカバーで少しずつ調整
といった対策をとることが重要です。
ヒーター故障や停電時の冷え込み
冬場の冷え込む夜間にヒーターが使えなくなると、セキセイインコが低体温症になるおそれがあります。
ヒーターが使えないときは、
- 厚手の毛布やタオルでケージを覆う
- 使い捨てカイロを利用(直接当てずタオルで包む)
- 停電時用の簡易保温グッズをあらかじめ用意しておく(湯たんぽなど)
- 長時間停電する場合は、室温が維持できる別の部屋に一時避難させる
など、非常時用のグッズを用意しておくと安心です。
なお、 「ポータブル電源」 があるとヒーターが使えるので、長時間の停電といった場合のリスク対策になります。

私自身、東日本大震災を経験しました。
停電が3日間続き、暖房が止まった家の中は日中でがも10℃以下。3月とはいえ凍えるほど寒かったです。
当時はまだセキセイインコを飼っておらず、もし飼っていたら寒さで間違いなく命を落としていたと思います…。
大きな地震だと、電気が復旧した後にもまた大きい地震が来るので停電します…。(本震より電気の復旧は早いですが)。
セキセイインコの地震対策については 地震が来たらどうする?セキセイインコを守るための防災・避難ガイド で解説しています。
エアコンの故障や停電時の暑さ対策
故障や停電は寒さだけではなく、真夏の暑さもリスクがあります。
近年は猛暑なので、非常時の暑さ対策もしておくと安心です。
- 風通しの良い涼しい場所へケージを移動させる
- 水がなくならないよう注意する
- ケージ内の温度を下げる(保冷剤や氷、濡れタオルなどを活用)

扇風機は使える、という場合はぜひ活用しましょう。
まとめ:温度管理でインコの健康を守ろう
セキセイインコの温度について解説してきました。
セキセイインコにとって最適な温度は
成鳥➡20~25℃。
雛➡28~30℃
病鳥、高齢鳥➡28℃前後
季節に応じて、エアコンやヒーターを使い分け、常に温度計で確認することが大切です。
また、カビや細菌が繁殖しやすい梅雨時期は除湿器を活用し、湿度管理を最優先に。
セキセイインコの暑さ・寒さのサインを観察しながら温度や湿度を調整し、器具の故障や停電などのリスクに備えて暑さ、寒さ対策をしておくと安心です。


